戸塚 踊り猫伝説

昔むかし
戸塚宿にあった醤油屋での物語

ある時、手ぬぐいがなくなっている事に気づいた醤油屋の主人は、この件について丁稚を問いただした。 しかし、丁稚は知らないと言う。

疑いをかけられた丁稚は、自分の無実を晴らすため、泥棒の正体を暴こうと、夜なべして見張った すると、醤油屋の飼い猫が手ぬぐいを持って出かけていくではないか。

丁稚は驚きながらも、飼い猫に気づかれぬよう後を付けていくと、そこには手ぬぐいを被った猫たちが、何匹も集まって踊っていたのだった。

丁稚はこの事を主人に話すが、にわかに信じがたい。その夜、主人と丁稚で見張っていると、昨日と同じ光景を目にするのだった。

その噂が広まると、やがて見物客が現れるようになった。

しかし、人目に気づいた猫たちは、それ以降忽然と姿を消し、醤油屋の飼い猫もいつしかいなくなってしまったそうな。

汲沢町にある「踊場」という地名は踊場猫伝説に由来しているという。また横浜市営地下鉄「踊場駅」は、ここが猫たちが踊りをしていた空き地のあった場所であると言われている。 2番出口の脇にある「踊場の碑」は、踊り猫たちの霊を慰めるために、1737年に建てられたと伝えられている」。

時は令和
今もしぶとく踊り続ける猫たちがいるという・・・

『踊り猫伝説 オリジナル続編へGO!』

参考資料
日本伝承大鑑。小島瓔禮編『神奈川昔話集』および『中和田郷土誌』
挿し絵:風頼英知
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